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世界中の宿泊者を惹き付ける外灘の眺望 | ||||
空港を出てタクシーに乗り街に着くと、上海の街は相変わらずエネルギッシュな人々であふれていた。世界中から人と金が集まり、いま世界で最も成長している街の一つであるここ上海には、ビジネスや観光目的に世界中から旅行者が集まるため、数多くのホテルが林立している。その上海中心部の黄浦区にある外灘(ワイタン)地区に、アールデコ様式建築のよく目立つホテルがある。そのホテルはブロードウェイマンションホテル(Broadway Mansions Hotel − 上海大厦)といい、長い間上海のシンボルとして親しまれた。そしてまた、戦前の上海では最も高いビルであった。 英語で「The Bund − バンド地区」と呼ばれる外灘一帯は、アヘン戦争を終わらせるために英国と清の間で結ばれた南京条約(1842年)により開港した5港の1つである上海に置かれた、外国人居留地(いわゆる租界地区)であり、かつて英、仏、米国などが土地を租借していた。そこには当時立てられた西洋式の建築物が今でも建ち並んでおり、その一つであるブロードウェイマンションホテルは外灘の北側に位置している。 1930年に建築が開始され、1935年に竣工したこのブロードウェイマンションホテルは、呉淞江と黄浦江の合流地点の近くという便利なロケーションに位置しており、さらに当時としては最先端のデザインを誇っていたため、多くの著名人の常宿になった。またそのオープンが丁度戦争が激しくなった時期とも重なり、時には日本軍に徴収され、戦時中にはジャーナリストの拠点となり、そして米国と蒋介石の拠点の1つになったりと、中国の激動の歴史と共に歩んで来た。 第2次世界大戦が終了し租界も終わると上海に残る欧米人の数が激減し、ブロードウェイマンションホテルも様々な出来事を経て、オーナーも代わり、そしてついにはその名前を変えた。そして元の「ブロードウェイマンションホテル」に名前が戻ったのは、中国の欧米への解放が進んだ1990年代でる。 さて、ブロードウェイマンションや外灘に関してはこれ以上の詳細は他に譲ろうと思う。上記のように歴史の中心にあり、様々な人の物語の発生現場となったため、ウェブサイトや書籍、各種資料などで外灘やこのホテルの詳細が非常に良く語られているので、詳しくはそちらを参考にした方が良いと考える。ここで取り上げたいのは、その屋上からの夜景である。 ブロードウェイマンションは外灘でも最高の眺望を得ている建物であり、外灘、黄浦が一望できる。今では上海の街には超高層ビルが立ち並び、街全体を見渡せたり、夜にはネオンが宝石のように散りばめられる様子を色々な場所から見ることができる。しかし、このホテルは、建てられた1930年頃はは上海で一番の高さを誇っており、その最上階から見える景色は、当時絶賛されていた。 上海随一の観光名所となっている外灘地区には、前述の通り1800年代後半から1900年代前半にかけて、多くの美しい西洋風の建物が建設された。その中でも特にこのホテルは19階建てて、当時は上海のランドマークとも言える存在であったということである。そして、そこから外灘に並ぶ昔ながらの古い建物をを見下ろす景色は、80年経った今でも非常に美しい。 中国に詳しいフリーランスライターのChristopher Pitts氏は、「It's well worth paying slightly more for the Bund-facing rooms which have wonderful views over the northern part of the Bund, the Huangpu River and Pudong (外灘が見える部屋に宿泊できるなら、多少部屋代が高くなっても払う価値はある。そこからは外灘の北側、黄浦江、そして浦東の素晴らしい景色が見える)」と書いている(注)。 撮影当日の霧の為、残念ながらここに掲載している写真ではその景色を十分には楽しむことができないが、上海に一度行ったら是非ここに訪れ景色を楽しんで欲しい。そして将来、上海の街がさらに発展したときも、変わらずにこの景色を楽しみに上海を訪問したい。 (注)Lonely Planet社ならびにChristopher Pitts氏の許可のもと、Lonely Planet China (11th Edition), © Lonely Planet 2009から引用。 (2010年12月23日掲載) |
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